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2019.10.25

オーストリア・スイスMTBツーリズムスタディトリップ2019(2)

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こんにちは、前回のリポートから暫く時間が経ってしまいましたが、

今日は続きをお送りしたいと思います!

 

オーストリアでのライド初日を終えた翌日はエッツタールと呼ばれるこのエリアの観光局のマーケティング/コミュニケーションマネージャーのマニュエラと観光局の事務所でヒアリング。マニュエラはNINEもサポート受けているをIonのウェア(ゼルデンのスポンサー企業でもある)で登場、実際には3年前にこのポストについてからMTBを始めたそうですが、今ではバイクパークの上級コース・ブラックもこなす程だそうです。この日もヒアリングの後はライドに行くとのことでした。

 

 

さて、このヒアリングではゼルデンバイクリパブリックと言うMTBリゾートのコンセプトの成り立ちやファイナンスの仕組み、現在までの実績等を色々と伺うことが出来ました。詳しい内容に関してはスキーリゾート研究会の方で報告がありますので、興味のある方は是非ご参加/問い合わせをしてみて下さい。ここでは自分にとって特に印象的だった部分を抜粋してお伝えしたいと思います。

 

 

1)4つの小さな町の集合体であるエッツタールと言うこのエリアの中で各地域のコンセプトを決め、長期プラン(第一フェイズは2020年度に終了)にもとずいて運営されてる。ゼルデンはその中でMTBに特化している。

 

2)6つの村をつなぐシェアトレイルがあり、E-Bikeでの移動が盛んである

 

3)ゼルデンバイクリパブリック - 2019年度ファクツ
    9つのフロートレイルー合計31.2km

    15のナチュラルシングルトレイルー合計28km

    13のエンデューロトラック

    2つのパンプトラック

    56のMTBフレンドリー宿泊施設/バイクホテル

    4つのMTB搬送リフト/ゴンドラ

    23人のフルタイムトレイルビルダー、4台の重機

    4つのバイクスクール

    6つのバイクショップ    

    12のバイクウォッシュステーション

 

4)世界的に有名なトレイルビルダー(Allegraからも数名参加)によるデザイン、エッツタールエリアの方言を利用した他にないトレイルのユニークなネーミング。

 

5)2014年からの2年間で利用者0からのべ5万人に、その後拡大を続け2018年にはのべ12万6千人に。その中でライダーのキャラクターとして特筆すべきなのは競技志向のダウンヒルライダーは2%でしかなく、アドベンチャーやフィットネスとしてオールマウンテンライディング、MTBツアー、エンデューロ体験をする人/ホビーライダーが全体の8割以上を占める。コースの中でも最も利用率が高いのはブルーの初心/初級者用。

 

6)コースの造成はできるだけ自然環境に配慮し、重機の使用を最低限に抑えなるべく植生は元に戻すことを心がけている。きちっとビジネスプランを立て、造成コストに対するメンテナンスコストが10%を超えないよう、あらかじめデザインの段階で考慮しておく。

 

7)今でもスキーの方がビジネスとしてはボリュームがあるがMTB事業を行うことで、通年雇用の機会を増やし安定した雇用につなげている。ヨーロッパでも観光業に就く人材の確保は難しいとされている。

 

8)マウンテンバイクのお客様はハイキング等のお客様よりたくさんお金を使う傾向にあり、地域に落とす一人当たりの単価が高い。

 

と言ったところです。非常に興味深いヒアリングでした。ここで日本の地方自治体やMTBリゾートを経営する事に興味のある企業の方に知っておいてほしいと思うのは、MTB事業は全てがバランスよく揃って初めて成り立つ事業だと言う事、そして日本の従来型の各部署毎に競争させる形で利益を追求させる方法では成り立ちづらいと言う事です。横のつながりをしっかりともち、お互いに協力する事で補完しあって全体の発展を促すことが成功の鍵となると感じました。

 

さて、ちょっとビジネスライクな話になってしまいましたが何か感じ取ってもらえたら光栄です。

 

 

この日はヒアリングの後にエッツタールで策動事業者が経営する別のアウトドア事業を見に行きました。エリア47と言う施設で川やプール、ウォータースライダーで遊べる施設になっており、ビーチバレー、ウェイクボード、電動モトクロスバイクの屋内コースも併設されていました。コンセプトとしては大人用のアウトドアプレイグランドです。天気も良かったので水辺でランチを食べましたが、高校生から大学生ぐらいのグループがたくさんいて楽しそうにしていました。

 

その後車を走らせ、リヒテンシュタインを抜けスイスに入国、MTBのワールドカップで有名なレンツァーハイデに到着。ホテルのチェックインにちょっととまどりましたが無事に部屋を確保、この日の宿泊先はキッチンや共同のリビングスペースがあったのでスーパーで簡単に調理できるものを買い出しをして夕食にしました。

 

 

翌日はレンツァーハイデ でのライド、3年前に来た時は地元の観光局のヒアリングと視察のみでライドせずに別のエリアに移動してしまったので、自分にとっては念願の1日!Allegraからこの日のガイドとしてフルリーナに来てもらい、現地のバイクショップでオールマウンテン系のバイクをレンタル(自分のはマイバイクの最新モデル、SpecializedのStumpJumper 2019 でした!)してまずはバイクパークへ。

 

1本目はブルーのフロートレイル、これが良くデザインされていて気持ちよく走ることが出来ました。ゼルデンと比べるとテーブルトップのラインがあったり、デザインが洗練されていてフローが更に良いと感じました。コースの途中ではワールドカップのダウンヒルコースを見れる場所があったり、ボトムには練習用のテーブルトップがサイズ別に4レーン、ドロップが3レーン、キッズ用コースが3ルートあり様々なライダーが練習しながら上達できる環境が揃っていました。

 

下にある写真の網状のものはなんだかわかりますか?前回の動画の最後にもありましたがこの辺りは夏場、牛や羊を放牧しているので、コース内に動物が入らない様に工夫されています。また、ゴンドラの中間駅にはE-Bikeの充電もできる様になっており、リフト搬送を使わないどちらかというとトレイルをゆっくり楽しまれる様な方も同じ景色を楽しむことができます。次の動画はMTBパークのブルーのフロートレイルの上半分の様子です。

 

 

Allegraが造成している新しいトレイルの視察を挟み、このコースを2本走った後はバイクパークの向かいの山にあるリフトを2本乗り継ぎ、山頂で360度のスイスの山並みを見ながらのランチでした。ここから登りも含めたナチュラルトレイル(シェア)のライド。シングルトラックと作業道のダブルトラックを織り交ぜたルートは格別で、大きなベンツのダンプがたまに通る作業道の登り、フローイーな下りセクションから、ちょっとハードなロックガーデンまでバラエティに富んでいて楽しかったです。

 

 

 

(3)に続く

 

 

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